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Dusk of the Black Hole

現代詩─ 文字の谷間の饒舌な次元。詩が紡ぐ異次元への出入口。

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月蝕より

錆びた月光が差し込む夜
利き目にはモノクロームのネガ
反対の目に赤銅色が映りこんでる
窓辺で蝕の暗い赤が凍みる
シーツはあなたの匂いでいっぱい
さっきまで
当たり前の冬が柔らかく含まれ溶けていた
私はあなたを焼き付け続け何枚も記録した
今夜は脳裏をウィスキーが埋めてゆき
やがてひとりの時間に冷めていく
やけに虚しい
、、

ざわざわ這い上がり首筋から
締め上げてくる熱が額に集まっている
薄暗がりにあなたがいる
何度唇を合わせても
何かが足りない
埋めて埋めて繰り返しながら
あなたの顔を見つめても
何も言葉にならない
未熟な私の戸惑いを
あなたの瞳は射抜く
汗をかきながら
私は震えて呻いてしまう


自ら蝕んだ今と過去
を縫合して思いに潜っても
ざらついた自分は直ぐには変われない
それでも赤く月が上り始める晩には
理性を剥ぎ取る思いに抗えない
窓辺から月が薄く照らす寝室で
あなたの肋骨をさぐりメスで切開し剥離し
開いた胸に露わになった脈打つ心臓
の無垢な赤
開胸器から己のささくれた手で触れたら
あなたの命の喜びを中心で握る
押し込めた思いを切り裂いて放り投げ
あなたの白い肌を流れる青に変えよう
喉の音が掠れうっすらと滲んでくる赤は
私の悲鳴ともあなたの死とも分からない
闇に炎を昇らせてあなたを求めたら
私の中で輝く表情がうれしい
、、
私は今夜再びあなたを
白々と開けるまで解剖する
あなたの全てを知りたい
あなたの謎を全て開いてみたい
欲望を抱いて私はメスを握る夢を見る




文学極道 投稿作品




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轍が光る雨の音

鼓膜いっぱいに響く冷たさ
降り続く雨に濡れ
信号の像もぼやける夜
道が微かに光るよう
何が光るのか
光っているのか

雨が好きだと言って彼は
心静かになれるから、と
遠い目をした
本当にそうなのか
思いは共有できなくて
ただ頷いた夜更けの部屋に
雨音が差し込んでいた

愁いを雨に流して
心を空っぽにして
前を見ることができるのなら
どんなによいだろう
雨を嫌う人々は雨に
光を見つけられないでいて
気分を落とし込む
道に光る轍は
アスファルトの上にもあるのだ
夜も照らされて光る轍に
雨水が流れる

今の私は耳を冷たく塞がれて
目を凝らさないとならなくて
アスファルトの輝きに
心合わせられない
雨音が聞こえないまま
雨の下で光を見る
ひとつだけを選択して
苦しみを流すことが
私にはできなくて
雨の下で立ち尽くすだけ



ウエブ女流詩人の集い 蘭の会 2017年 月例12月投稿作品




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炭鉱夫

赤土の坂道馬車が上っていく
花嫁馬車に乗っていく


後をついてく犬の尾が
右へ左へ揺れながら
時折何度か振り返り
来いというよに吠えてくる
俺は遠く見送って
日が暮れるまで見つめてた


炭住長屋を後にして
花嫁衣装のあの子が行った
爪の黒い俺の手は
あの子に触れずにそのまんま
好きだと一度も言えないまま
あの子は振り向くはずもなく


俺も犬なら
追っていくのも気兼ねなく
懐いて鳴いているものを
俺はただただ見つめてた


花嫁馬車が坂道を
馬に引かれて上っていく
ゆっくり揺れて上っていく



ウエブ女流詩人の集い 蘭の会 2017年 月例10月投稿作品




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眩しい光に

見上げると眩しい光に灼かれ
帽子を被り直し思い出すのは
山の里わすれない光
冒険の光あふれる故郷

眩んだ目を閉じると
廃校のグラウンドにフランス菊が満開
クローバーの群れが土を覆い
緑も白も土の色も鮮やかに映る

お姉ちゃん、という顔は笑い
きいきい声で怒ったかと思うと
勢いよく走っていく
白いランニングの後ろ姿の
振り返ればいつまでも若い父の顔

昭和の中に記録された様々
遠くなっていく度に指折り数える

呼ぶ声は皆んな心の中から
聞こえるのは頭の中から
見える記憶の日が浮かぶ

目を開ければ
ひとり占めしている
高い空の青さに浮かぶ雲を



ウエブ女流詩人の集い 蘭の会 2017年 月例8月投稿作品




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枯れても花色

暑さにあてられて
蒸されて膨らむか
からからに乾いて枯れていくのか
どちらにしろ私はひとりだ
色んな人と交わり
時を過ごしてきたけれど
殆どの時間をひとり過ごす
自分が選んだ道の末か
道の途中か
とにかく汗が流れる
口元に落ちてくる
雫はゆるく唇を舐めて
薄い塩気を残していく


べたべたした汗をかくとき
表情も固く塩気いっぱいになる
見知らぬ人たちに溢れた街角で
クラクラでガタガタで
座りたいけど座れなくて
吐き気までもよおしてくる
人の流れは淀みを押しては
通り抜けようとする
端からこぼれ落ちる中に
私は溺れているんだ
苦い水が鼻からのどに落ちてくる


だから
ひとりでもけして悔やまない
枯れたら枯れたなりに
付けた花の色を妖しく残す
風雨に晒されながら
生活の中 自分の速度で
歩くとわかる


さらさらと流れる汗をかいたら
今日は気分のいい日いい光
家に帰ったら冷たいお茶が欲しいな
からからの喉を潤して
しわしわの目を開けよう



ウエブ女流詩人の集い 蘭の会 2017年 月例7月投稿作品





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